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第13回 入管収容施設内で初のコロナ感染者

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 日本にはさまざまな事情で暮らす、いわゆる「非正規滞在の外国人」が大勢いる。しかし、日本政府は彼らの個別の事情を考慮せず、既に「出入国管理及び難民認定法」(入管法)上の退去強制令書が出ていることを根拠に、法務省・出入国在留管理庁(以下・入管)の収容施設に無期限で長期収容したり、強制送還を行ったりしている。「非正規滞在の外国人」への人権侵害を考える連載第13回は、東京・港区にある東京出入国在留管理局(以下・東京入管)の収容施設内で発生している新型コロナウイルス(以下・コロナ)感染症の問題。

 入管は行政権限で全国九つ以上の施設で、在留資格を持たない外国人を収容している。施設の大部屋(10畳ほどの広さ)には、複数の人たちが入れられ〝雑居房〟のような形で収容されている。
 被収容者たちは、1日のうち自由時間を除く17時間以上もの間、ずっと部屋の中。その時間は室外に出ることを禁じられているので、常に「3密」(密閉・密集・密接)状態に置かれている。「コロナ感染」拡大が取り沙汰され始めた当初から、その危険性が懸念されていた。被収容者を支援する弁護士や人権団体等は3月ごろから、入管に対して、被収容者に「仮放免」(注)を認め、彼らを施設から出して、コロナ感染から守るように強く訴えていた。
 しかし、その懸念が現実のものとなった。法務省は8月7日、東京入管の施設に収容されている50代の男性が、検査の結果、コロナに感染していることが判明したと発表したのだ。
 これを受けて8月11日、難民支援等に尽力する弁護士有志と「仮放免者の会」は、「コロナ感染者を出した入管収容等に関する記者会見」を東京・参議院議員会館で開催し、緊急アピールを行った。駒井知会弁護士によれば、東京入管には現在、約180人が収容されている。彼らの多くには、保証人もいる。実際に受け入れ先もある。それにもかかわらず、「仮放免」が認められていない被収容者が多数いるのだ。
 
今も続く「3密」
 
 記者会見では、東京入管に収容されている、アフリカ出身のある男性が電話で次のように伝えてきた。
 「(入管施設内では)マスクは頼めばもらえるし、消毒液はティッシュに染み込ませたものをもらえます。(コロナ感染予防のために)私は1人部屋ですが、4人部屋もあります。そこは今も『3密』状態が続いているのです」
 その男性には、日本人の妻と2人の子どもがいる。それにもかかわらず、配偶者ビザは下りないのだ。東京入管に収容されて丸2年近くがたつが、彼には帰る家もあり、家族は毎日、必死に耐えて彼の帰りを待っているのだ。それでも、彼は入管施設からは出してもらえないのだという。
 記者会見では、妻が東京入管に収容されているという別の外国人男性(永住者)が、会場に駆け付けて、こう訴えた。
 「私の妻は(在留資格がもらえず)3年間、収容されています。妻は『もし自分がコロナに感染して死んだら、3人の子どもたちに、もう会えなくなってしまう』と言って、苦しんでいます。コロナは怖い。私は妻のことがすごく心配です。早く、妻を解放してほしいのです」
 今年の4月25日に、東京入管の収容施設「女性ブロック」である事件が起きた。体調の悪い被収容者と「3密」状態で生活することに不安と恐怖を感じた女性たちが、収容施設から出してほしいと静かに訴えたのだ。しかし、それに対して警棒を持った約20人の男性警備官が女性たちに暴力を加えて制圧。既に「仮放免」許可が出ていた女性たちについても、処罰の対象として許可を取り消し、今もそのままの状態になっているという。
 東京入管でのコロナ感染者は、当初、収容施設内の個室に入れられていたが、現在は病院に送られ、入院中だという。東京入管で面会活動を行っている、ある外国人女性によれば、20人ほどの濃厚接触者(被収容者)は、PCR検査を受け、それぞれ個室に入れられている。だが、シャワーや洗濯をしたくても、部屋から出ることは許されていないのだという(8月13日時点)。
 
全員に「仮放免」を
 
 入管の被収容者は、健康を害し、心身共に衰弱しているので、コロナに感染すれば、重症化することが懸念されている。施設内では、コロナ感染への恐怖から睡眠不足に陥っている被収容者も出始めている。当事者と支援者たちの理不尽な闘いは一体、いつまで続くのだろうか。
 入管は4月30日に、「入管施設における新型コロナウイルス感染症対策マニュアル」【第1版】を策定し、7月16日には改訂版として【第2版】を定めている。指宿昭一弁護士は、こう話す。
 「マニュアルでも、各収容施設内での密集等の状態を回避するために、『仮放免』を積極的に活用することを記しています。それにもかかわらず、『仮放免』を認めないことは理解できません。何よりも命が大事。だから、被収容者全員に『仮放免』を出してほしい」
 そもそも入管収容施設は、外国人専用の刑務所ではない。「配偶者ビザ」を申請しても取得できない人や、難民認定申請をしても認めてもらえない人など、在留資格がない外国人が収容されている施設なのだ。前述の外国人男性(永住者)は、「入管は、私たち外国人を人間と思っていないのでしょう。入管に収容された途端に、人権が守られなくなるのはおかしい」と憤りをあらわにする。
 東京入管には、①被収容者への十分な検査②感染経路の調査③大規模な被収容者の解放―が求められている。そのためには、この理不尽な闘いを続け、入管の実態を広く知らしめる〝声〟を上げ続けなければならないのだろう。
 【注】「仮放免」とは、「非正規滞在」となった外国人に対して、入管が入管の収容施設外での生活を認める制度。

オンラインでも公開した8月11日の記者会見で、東京入管の男性被収容者から電話を受け、状況を聞く指宿弁護士㊧

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